先週の水曜日の会社からの帰り道、
ガソリンが残り少ない事を示す、給油ランプが点灯した。
最近は便利になったもので、
僕の車は燃費とガソリン残量から航続可能距離が表示される。
メーターを見れば、まだ50kmほど走れる事が分かった。
平和ボケしてスリルの「ス」の字すらない毎日。
手持ちの現金が少ない事、「ガソリンは休日に入れる」というマイルールがあるため、
その瞬間に僕は決断した。
「限界ギリギリまで耐えて、次の休みまで絶対に給油しない!」
そう、1人チキンレースの始まりである。
例え愚かと言われ様とも、
男には負けられない戦いというものが存在するのである。
翌日の木曜日。
自宅と会社を往復し、帰宅した時点の航続可能距離は30km。
ちなみに会社までの距離は片道10km超。
単純計算で残り1往復半もできてしまう。
金曜の帰宅時に給油すれば、勝った事になる。
「ぶっちぎりの余裕でこの勝負、貰ったぜ!」
そう思った金曜日の朝、
エンジンをかけて会社に向かって走り出す。
信号で止まるたびにチラチラとメーターを見ながら走り続ける。
しかし、通勤路途中にある最後のガソリンスタンドを過ぎた頃、
僕はある重大な事実に気づく。
「実際に走っている距離よりもメーターの減りが早い!」
そう、1km走る間にメーターでは2km以上減っていた。
運悪く金曜日の朝の気温が低かったため、
予想以上に燃費が悪くなったのだ。
会社まで残り5kmはあろう地点で航続可能距離は10km。
今までのペースからして帰宅時に給油なんて逆立ちしても無理で、
むしろ会社にも辿り着けないレベル。
速攻でUターンして最寄のガソリンスタンドへ向かう。
スタンドまでは2kmほどなのにやけに長く感じ、
心なしか先ほどよりも早いペースでメーターが減っていく。
顔面蒼白、口の中はカラカラ、ハンドルを握る手は汗だく。
まさにスリルを味わいまくった。
ものすごい後悔と共に。
結果的にガソリンスタンドに着いた段階で、
航続可能距離は5kmを切っていた。
フー、危なかった。
・・・という話を金曜日の昼休みに武勇伝っぽく会社の先輩に話したら、
先「ガソリン入れた携行缶とか持ってたの?」
僕「持ってないっす!」
先「マジで止まったらどうすんの?」
僕「止まる前にギリギリ給油すれば大丈夫!」
先「メーターがそんなに正確だと思ってんの?」
僕「え・・・?」
先「お前、バカじゃね!」
という訳で。
度胸のあるバカに認定される1人チキンレース。
オススメです。